グル・コラ(グルメに関するコラム集)
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魚醤とは魚で作った醤油のこと。日本でも石川県の輪島あたりでは有名だ。し
かし、これまでに何回か試したことがあるが、魚臭くてとても人間の口にできるも
のでは無い、というのがその印象だった。まさに「名物に旨いものなし」の絵に描
いたような例だ。
ここ数年で東南アジアの各国を旅してきたが、その多くの地域で魚醤がメインの
調味料として使われていることを発見した。タイの「ナンプラー」などはその中でも
有名である。
ベトナムではこの魚醤が「ヌォック・マム」と呼ばれている。食堂・屋台では必ず
小皿で、まるで日本の刺身に浸ける醤油のようにテーブルに出される。テイクア
ウトで焼き鳥やフライドチキンを買っても小袋に注いで付けてくれる。
私が今回新発見したことは、この魚醤は魚料理ではなく肉料理に最適であると
いうことだ。それも鍋や煮物などスープの調味として使うのではなく、あくまでも浸
けタレとして。我が家ではもっぱら焼き肉のたれとして、或いは生姜焼きの調味料
として利用している。ごく普通の焼き肉用のタレと違って一切の甘味は使われて
いないので、とてもあっさり・さっぱりとしていて決して飽きることはない。
偶然にも私が昨年訪れたベトナム最南部のフーコック島が「ヌォック・マム」の生
産地で、千葉県野田市に行ったことがある人はおわかりだと思うが、あたりにプ
ーンと醤油の香りが漂っていた。
ベトナムではこれ1本が僅か10円足らずの価格で売られていたが、お土産とし
て人に配って損はない逸品である。将来にベトナム旅行を計画されている方、覚
えていて下さい。
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